株式会社が誕生してから400年、産業革命から300年。
10億人も満たなかった我々人類は、技術革新や医療の発達等を享受し、足許80億人を突破し更に拡大を続けています。現在直面しているのは、環境問題。自らの経済活動が環境に負荷を強いてきた結果、永続性に直接的に係る数多くの問題を引き起こしています。
近年ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)の観点が必要となってきた背景です。
また、一企業として考えると、様々なステークホルダーと「公正」に「利益」を「最大化」して分かち合うという、バランスの取れた経営を行う基盤として、ガバナンス・コード(企業統治指針)の強化が叫ばれています。
一企業行動として、社会に責任を負うべき、また配慮すべき事が多岐に渡るようになってきました。
かような中、未来へ向けて、持続可能な企業の発展の為に、次世代を担う子供達の為に、資産運用に生業を置く身にとっても、株価と企業価値の単なる裁定者ではなく「義を伴った利」へ、行動の変化が求められています。
現実の株式市場に於いては、実体がしっかりした企業の中にも、本来の価値からかけ離れた低い評価に留まり、また企業側も甘んじている状況が散見されます。一方で、問題意識を持ち、動き始めた企業も増えつつあります。
我々は長期的な視点から、その胎動に気づき、変化に賛同し、飛躍を後押しすべく伴走者でありたいと考えております。
本来は評価されるべき価値を持つ企業に寄り添って、その価値が具現化されるようにサポートする事、それは同時に、リスクマネーを拠出する投資家の価値をサポートする事にも繋がります。
企業のバリュー(価値)をサポートし、投資家のバリューをサポートしていく、幸せの共生サイクル「バリューサポート」。私達は目指します。
Recognition
#東証の市場改革
2022年4月、東京証券取引所(東証)は大規模な市場改革を実施し、旧来の市場区分を「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つに再編しました。併せて、上場基準の大幅な見直しも行われました。
この改革は、日本の株式市場の国際競争力を強化し、投資家にとってより魅力的な市場へと変貌させることを目的としています。
さらに、2022年の市場改革以降、東証は上場企業に対し「資本コストや株価を意識した経営」の実現を求めており、これは現在、特に重要なテーマとなっています。
この背景には、グローバルな競争の激化、株主意識の高まり、ESG投資の拡大などが挙げられますが、最も大きな価値観の転換点は、「経営に投資家視点を取り入れる」という考え方の浸透です。
「資本コストや株価を意識した経営」においては、事業会社側に対し、資本コストの理解、株主還元の充実、成長投資の実施、ESG経営の推進、情報開示の充実などが求められています。
ここで重要なのは、「投資家目線を価値判断の基準とする」という点になります。
これは、従来の「各企業の経営陣が持つ多様な価値観を重視する」姿勢から大きく転換し、「投資家が共通して持つ価値基準を基に経営を行うべき」と東証が表明し、それを上場企業に対して要請していることに他なりません。
一方で、(あまり広く認識されていませんが)運用会社側にも「緊密なコミュニケーションを取ること」「チェック機能を果たすこと」「事業会社に変革を促すこと」といった重要な役割が求められています。これらは運用者の職務であり、「単に投資収益を追求するだけでなく、社会的責任を果たすべき」との考えに基づいているといえます。
このような市場変革の中で、われわれ機関投資家としては、事業会社にとって有益な提案や助言を提供できるかどうか、その能力が試されていると考えています。